リチウムイオン電池には多くの種類があることを説明しました(第2回 リチウムイオン電池の構造・仕組み・種類)。機器や用途に合わせて適切なバッテリーを選ぶことが重要です。今回はリチウムイオン電池の選定ポイントについて紹介していきます。
※バッテリーの性能指標(電圧、容量、出力、放電レートなど)について「第1回 電池の種類、特徴、性能指標」記事をご参考ください。
負荷機器の動作電圧、動作電流、動作時間などを確認し、電力源であるバッテリーの電圧と容量の目安を決めます。
次に機器の動作電流や出力に対応したバッテリーを選びます。バッテリーは、最大出力に限界があり、さらに出力可能な範囲であっても、実際に使える容量が出力によって変わる場合が多いことに注意が必要です。ただし、リチウムイオン電池は、鉛電池などと比べて出力(放電レート)による容量減衰が極めて小さいです。
バッテリーの収納スペースや重さへの要求などを確認して選定しましょう。
容量や出力の仕様だけでなく、保護回路・バッテリーマネジメントシステム(BMS、バッテリーを監視・制御するもの)や機能等により、価格に差が生じます。
また、バッテリーの種類、使い方やメーカーによって寿命が異なる場合があり、初期費用(バッテリーの購入価格)のほか、ランニングコスト(電池の交換費用など)も考慮しましょう。
バッテリーは化学反応を利用して充放電が行われるため、温度によって性能(容量、出力、寿命など)が変化します。性能を最大に発揮するためには温度範囲に注意が必要です。
さらに、リチウムイオン電池は、高温や低温で激しい劣化が生じたり、危険な状態になることがあるため、使用温度範囲が制限され、充放電などが禁止されることがあります。
そのため、技術資料などで使用温度範囲を確認し、使用したい環境温度に対応できるバッテリーを選ぶ必要があります。
バッテリーの種類等によって、充電受入性能が違うため、充電量が回復までに要する時間が異なります。充電方法や充電時間などを確認し、使用要件に満足するか判断しましょう。
リチウムイオン電池は使用を続けると劣化が生じます。繰り返し使用されることで生じるサイクル劣化だけではなく、使用しなくても経年で劣化が進みます。劣化の度合いはバッテリーの種類や使用方法などによって変わります。負荷機器の使用頻度・寿命、バッテリーのライフサイクルコストなどを考慮して適切な電池を選びましょう。
リチウムイオン電池は、短絡や過充電などがトリガーとなって熱暴走を引き起こし、発煙・発火や火災事故につながるリスクがあります。
これを防ぐためには、下記がポイントとなります。
・バッテリーの製造工程における品質管理
⇒販売元が信頼できるメーカーであるか等を確認しましょう
・各種安全規格やガイドラインに沿った保護
⇒保護回路や安全規格等に対応した充電器は必須です
・バッテリーと機器での使用条件等のすり合わせ
⇒非純正品はリスクがあります
また、リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高い、あるいは出力が高いほど危険性が高い傾向があり、上記のような対応が重要となります。
リチウムイオン電池は、 種類やメーカーによってたくさんの特性・仕様のものがあります。選択の際は、用途や搭載機器などによって何を優先すべきかが違ってきます。
例えば、出力を優先する場合は電流が取り出しやすいラミネート形、携帯性で軽さ・小ささが重視する場合はエネルギー密度の高い三元系など、安全性・サイクル性・コストを優先したい場合はリン酸鉄系のバッテリーを考えます。
各種リチウムイオン電池の特徴やメーカーが公表したスペック、技術資料などを確認し、総合的に判断して負荷機器に最適なバッテリーを選びましょう。
以上はリチウムイオン電池を選ぶ時にいくつかのポイントを説明しました。ご参考になれば幸いです。
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