前回の記事では、バッテリーの種類、性能指標及び代表的なバッテリーの特徴について説明しました。今回は、小型・軽量・長寿命という特徴から幅広く使用されているリチウムイオン電池について紹介していきます。
リチウムイオン電池(lithium-ion battery, LiB)とは、電極にリチウム化合物を使用し、電解液を介してリチウムイオン(Li+)の移動によって充放電が行われる二次電池です。
リチウムイオン電池は、正極(Cathode)と負極(Anode)があり、正負極の間を微小な孔が多数開いたセパレータ(Separator)で絶縁され、電池内が電解液( Electrolyte)に満たされた構造(図1)をしています。また、電池として機能する最小の構成単位をセルと呼びます。
充電時は負極から正極に向かって電流を流します。それにより、電池内部ではLi+が電解液を介して正極から負極に移動し、負極に蓄積されます。放電時には、負極に蓄積されていたLi+が電解液を介して正極に移動することによって、外部回路では放電電流が発生します。
一般的に、リチウムイオン電池の正極材料(活物質)にはリチウムの遷移金属(コバルト、ニッケル、マンガンなど)酸化物やリン酸塩化合物、負極材料には炭素系材料等が使用されることが多いです。
使用される材料によりリチウムイオン電池は、コバルト系、リン酸鉄系、三元系(ニッケルなど3つの金属元素を使う)など多くの種類が分かれ、それぞれの特徴が異なり、特定のアプリケーションに合わせて使用されます。例えば、コバルト系はエネルギー密度が高く電圧も高いため、スマートフォンなど携帯機器(ポータブル用)で使われています。また、三元系もエネルギー密度が高く、自動車(HEV、EV等)など移動体で使われています。一方リン酸鉄リチウムイオン電池は安価でサイクル寿命も長いため蓄電システムやEVで採用が増えています。
種類の特徴について、大まかに下表のようにまとめられます。
リチウムイオン電池は、形状から円筒形、角形、ラミネート形(パウチ形)などがあります。
円筒形は、形状的に強度が高く、さらに外装缶には鉄が用いられるため、ラフに扱われる電動工具などによく使われています。
角形は、隙間なくコンパクトにパッケージできるため、セルをたくさん使う蓄電池システムやEVなどで採用される例が多いです。
ラミネート形は、金属缶の代わりにラミネートフィルムを使用することで、円筒形・角形より軽量化ができるうえ、厚みも抑えられるため、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器に使われます。さらに大電流での出力への対応が容易です。
古河電池のドローン用リチウムイオン電池は、高出力に適するラミネート形のセルを使っています。
リチウムイオン電池は、材料や形状により多くの種類があり、それぞれの特徴や適する用途が異なります。用途に合わせて適切な種類を選ぶことが重要です。
次回は、リチウムイオン電池を選ぶ時の注意ポイントについてご紹介します。
古河電池のリチウムイオン電池は、ドローン、ロボット、産業機器等、幅広い用途にご採用いただいております。
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古河電池㈱ リチウム営業部