お帰りなさい、そしてありがとう「はやぶさ」!

 

2010年6月16日

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)殿
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)殿

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」が、幾多の危機的事態を乗越え奇跡的な地球帰還を果たし、日本時間6月13日19時51分にサンプル採取カプセルを分離し、同22時51分頃に大気圏に突入して7年に及ぶ長い任務を終えました。この「はやぶさ」には、古河電池が世界で初めて衛星専用として開発したリチウムイオンバッテリが搭載されています。この衛星専用リチウムイオンバッテリは、「はやぶさ」の打上げ、地球スウィングバイ、「イトカワ」へのタッチダウン、「イトカワ」の観察、セーフホールドなどの主要なオペレーションの他、様々な搭載機器のバックアップ電源として長期に亘り運用されました。

 

また、「イトカワ」でのサンプル採取後に起きたトラブルにより、バッテリの一部のセルがダメージを受けましたが、サンプル採取容器の蓋閉め作業にバッテリの電力が必要であるため、ダメージを受けたセルを抱えたまま残りの正常なセルを用いるという大変厳しい条件をクリアし、無事作業を完了させることができました。

 

この衛星専用リチウムイオンバッテリの開発に際しては、事前に運用計画に即した各種のシミュレーションによる容量劣化予測を行い、電池構成と定格容量を決定しました。更に搭載用バッテリと同一仕様・同時製作の地上モニター用バッテリを用い、実際の運用と並行した運用シミュレーションを行い、運用中のバッテリの容量確認試験などによって、容量劣化予測の正しさとシミュレーション技術の確かさを検証することができました。

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また、バッテリの一部のセルがダメージを受けた状態で行った蓋閉め作業においても、事前に地上セルにおいて入念な試験を行い、作業に支障の無いことを確認しました。これら多くの研究成果は、電気化学会の「論文賞」受賞など学術的に高い評価を受けただけでなく、「はやぶさ」の帰還と入れ代わるように今年5月に打上げられた金星探査機「あかつき」に搭載されたリチウムイオンバッテリの開発に展開され、「はやぶさ」バッテリの高信頼性・高耐久性を維持しつつ、より高いエネルギー密度と長寿命性能を有する衛星用リチウムイオンバッテリの実現を成し遂げるなど当社の次世代衛星用リチウムイオンバッテリの開発にとって極めて大きな財産となりました。

 

お帰りなさい、そしてありがとう「はやぶさ」!

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