2011年7月8日

電力会社の余剰電力や深夜電力を蓄たり、ソーラーや風力を蓄えて必要な時に取り出せる蓄電システムでは、蓄電できるエネルギーには限りがあり、エネルギー密度の高い電池の開発に凌ぎを削っている一方、普及促進には、エコノミーな負荷機器の開発が前提になってしまうことが現状です。 更に電気自動車は、この蓄電システムを搭載して走り、大きな蓄電システムでは電池運搬車になってしまい、例えば最新のリチウム電池でも、熟成された技術の結晶である制御弁式鉛電池と比較して、エネルギー密度で実質3倍程度、言い換えれば、エネルギー変換効率は別にしても、新開発の電池でもエネルギー密度はガソリンに比べて60~100分の一と小さく、走れなくなるまで同じ重さの蓄電システムを積んで走っていることになります。

 

かつてのガソリンのエコランレースの観戦時、その小さいエンジンのスタートで使用する電池をそのまま使って走行し、決められた電気量で走行距離を競う大会から技術を見出すために、同じ電気量(電池)とその舞台を供給し、時間をかけてでも、そのエンジニアを育成する事が電気自動車の実現に結び付くと考え、こうした必要性を真っ向から感じたメンバーから生みだされたのが、1995年5月に秋田県大潟村で開催された「ワールド・エコノ・ムーブ」であり、その年の11月に、現実的な道路状況に比較的近似した国際レーシングコースである宮城県の菅生サーキットでスタートしました。

 

16年目を迎える本年、経済状況の悪化には言及するまでもなく、連鎖的に多くの問題が重なり、大会の継続、更には、持続さえ見えない状況ですが、大会がスタートした当時と同じ視線で看られるメンバーで今後もなんとか継続できるように知恵を出し合っています。 本年の状況と見通しを次に記します。

 

  1. 車メーカーは大きなエンジンや車体の開発・設計を凍結している。しかし、環境対策車やエコカーの開発費は減らすことなく、寧ろ増やしている状況です。
  2. 現、経済状況の中、企業の協賛は困難となってきている。
  3. 学生・学校・支援団体が一体となり、公共施設、運転免許センター、JARIなどのコースを借用し、「ものづくり+実用化へのチャレンジ」をテーマに引き続き継続する。
  4. 安全に関るルールなど競技としてのレギュレーションを備え、モータリゼーションの意義、将来のEVへの展開、環境対応技術へのステップアップが必要です。これまで、継続してきた主な大会での走行距離は初回の記録のほぼ2倍となり、言い換えれば走行速度が2倍となっている。
  5. レギュレーションの統一化をはかり、各大会では特別規則として添付して運用する。(当初の大会設定ではマラソンでの人間のエネルギーマネジメントを考慮した2時間で大会をベースとしている。タイ大会などでのドライバーの暑さ対策には1時間の大会を2回でなく、ドライバー交代で規則化する。)特に安全面の装備は車検で厳格なるチェックが必要である。
  6. 最近、協賛する会社及び団体には、コンプライアンス重視が求められており、関係者は十分な配慮が必要である。所謂、スポンサーとしては広告宣伝からの効果として利益だけでなく、ユーザー、大会でのエントラントからの必要性から実現に至り、顧客満足度の探求と企業の社会性拡大と考える。
  7. 2010年度の大会の現状と見通しは次の通りです。

ソーラー・カー・ラリー及びレース関連

大会名称 開催地 開催日
W.G.C. ソーラー・バイシクルレース 秋田県大潟村スポーツライン 8月6日~7日
W.G.C. ソーラーカー・ラリー 秋田県大潟村スポーツライン 8月9日~12日
ソーラーカー・レース鈴鹿 三重県鈴鹿サーキット 8月5日~6日

 

エコノ・ムーブ関連

大会名称 開催地 開催日
World Eco-Car Grand Prix in Thailand パタヤサーキット(タイ国) 3月26日~27日
ワールド・エコノ・ムーブ 秋田県大潟村スポーツライン 5月3日~4日
全国電動カート創作コンテスト 山形県庄内町サーキット 7月29日~30日
2011電気自動車エコラン競技会 宮城県SUGOサーキット 8月20日~21日
Eco Car Festa 2011 セントラルサーキット(神戸) 10月30日
W.E.M.C. in NATS 2011 NATSサーキット(千葉県) 11月23日

 

  1. 電気自動車のエコランレースでは、競技用電池の費用は、どの大会でもエントリー費用に含まれている事が多く、コースの準備があれば開催可能です。