非常電源の一つに直流電源装置があります。
また、バックアップ電源として無停電電源装置(UPS)も広く使用されています。
今回は、直流電源装置とUPSの違いについて解説します。

直流負荷と交流負荷

最初に、電気には「直流」「交流」の2つの種類があります。

非常電源設備にて負荷をバックアップしますが、
「直流」で動作する負荷には「直流電源装置」が使用され、
「交流」で動作する負荷には「無停電電源装置(UPS)」が使用されます。
負荷がどちらの種類の電気で動作するかによって、使用する非常電源が変わります。

直流負荷で使用できる機器とは?

「直流」とは、電圧・電流の極性が正(+)または負(-)のままで、時間が経過しても極性の変化がない電気のことです。

「直流」で動作する負荷は、建物内の設備の中では非常照明や通信機等が代表的です。

交流で使用できる機器とは?

「交流」とは、電圧・電流の極性が正(+)と負(-)に、周期的に変化する電気のことです。

例えば、AC100Vコンセントに接続する家電製品やPC等は、「交流」で動作します。

 

直流電源装置の役割と用途

直流電源装置は主に「直流」の電気によって動作する負荷を、停電時にバックアップする役割を担います。

用途としては、非常照明や通信設備、消防用設備(防災無線等)のバックアップ、VCB(真空遮断器)などの受変電設備の操作用、
自家用発電機の始動用等に使用されています。

無停電電源装置(UPS)との違いは?

「無停電電源装置(UPS)」は主に「交流」の電気によって動作する負荷を、停電時にバックアップする役割を担います。

 

直流電源装置との違いは、装置にインバータを内蔵している点です。
蓄電池から出力される直流の電気をインバータによって再び交流に変換し、交流の電気で負荷をバックアップします。

 

直流電源装置の構成

直流電源装置は、盤(キュービクル)と呼ばれる筐体(外箱)と、整流器・変圧器・保護装置・表示装置・負荷電圧補償装置、蓄電池で構成されます。

整流器他と蓄電池で盤(キュービクル)が分かれて横並びになっているものと、
これらが1つの盤(キュービクル)に納まっているもの、主に2つの設置パターンがあります。

整流器

整流器は、商用電源から入力される交流の電気を直流に変換し、負荷へ電力供給しながら蓄電池を常時充電する、2つの役割を担っています。

直流電源装置は、停電時に商用電源からの電力供給が途絶えて整流器が停止した場合に、無瞬断で蓄電池から負荷へ給電します。

なお、整流器の耐用年数は設置から約15~20年程度です。

蓄電池

同じく直流電源装置の中には蓄電池が内蔵されており、停電時には日ごろ整流器で充電して蓄電池に蓄えていた電力を放電させて、負荷のバックアップを行います。

蓄電池の種類としては主に鉛蓄電池とアルカリ蓄電池が使用され、これらはモデルごとにそれぞれ特性・容量があります。
モデルは、負荷電流やバックアップ時間、使用環境等に合わせて選定をするのが一般的です。

産業用蓄電池の種類・寿命・放電特性

蓄電池は経年劣化するため、定期的な点検や交換が必須になります。
蓄電池の期待寿命はモデルによって異なり、その期待寿命に沿って交換を実施します。

 

 

 

 

 

整流器の回路構成

整流器は主に、①整流回路 ②ゲート(ベース)制御装置 ➂平滑回路 という3つで構成されています。

 

商用電源から入力される交流の電気が、整流器内の①整流回路によって直流の電気に変換されますが、その際に、整流回路内のサイリスタやFET(トランジスタ)といった整流素子に、➁ゲート(ベース)制御装置から制御信号を入力して、直流出力電圧等を所定の値に制御します。
その後、➂平滑回路で、整流回路から出力された直流の電気を、より整えて安定した直流波形に変換します。

この過程を経て、電気は負荷に供給されていきます。

 

直流電源装置の種類

装置は、大別すると制御方式により、サイリスタ式とスイッチング式があります。

 

 

サイリスタ式直流電源装置

サイリスタ式とは、整流器内の整流回路に「サイリスタ」という部品(整流素子)を用いた形式の直流電源装置です。

整流素子とは、電流を正極・負極の一方向だけ流すことができる電子部品のことです。

代表的なものに、整流ダイオードやサイリスタがあります。

サイリスタは整流ダイオードにゲート極を設けてあり、ゲート極に信号を与えないと電流は流れませんが、
ゲート極に信号を一旦与えると、電流を一方向だけに流しつづけます。

 

 

 

スイッチング式直流電源装置

スイッチング式とは、整流器内の整流回路に「FET」等の部品(スイッチング素子)を用いた形式の直流電源装置です。

スイッチング素子とは、ゲート(ベース)に信号を与えたり除去したりすることで、電流を一方向に流したり、停止したりできる電子部品のことです。
電流をON/OFFできるので、スイッチングと称しています。

代表的なものに、トランジスタ、FET、IGBTがあります。

直流電源装置のメンテナンス方法は?

特に消防用設備は、機器点検は半年に1回、総合点検は年1回と消防法で規定されています。
それ以外の用途でも、同頻度の点検が望ましいとされます。
また、整流器の部品交換は一般的に5~10年周期で実施することを推奨しています。

 

なお、装置全体の点検・交換の実施時期は、銘板に記載の製造年月等から判断することが可能です。

 

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