社会がめまぐるしく変化する中国で、ちょっと変わったモビリティが流行っていることをご存知ですか?
見た目はバイクみたいなのに、スピードはそこまで速くない。ペダルは付いているものの、足を乗せずにただクルクル回っているだけ。現地を訪れた古河電池の社員が「これは何だろう?」と不思議に思って調べたところ、電動自転車(EB:ELECTRIC BICYCLE)ということがわかりました。
すでに中国国内の保有台数は3億5千万台(中国・国家工業情報部の統計)と爆発的な人気!
中国は、世界に知られる電気自動車(EV)大国ではありますが、EVの何十倍もの普及率と言われています。
なぜこんなに普及したのでしょうか?
どうも2003年にSARSが流行した際、公共交通機関は感染が広がるから危険では?と考えた人々が、電車やバスを避けるために安価なEBを使うようになったようです。
さらに、自動車が急激に増えたことで交通渋滞が頻繁に起こり、大気汚染も深刻化。ガソリンで動く従来型のバイクに対してナンバープレートの発給枚数が制限されるようになったことも影響しています。
EBは、ナンバープレートも免許も自賠責も不要。2022年まではヘルメットも不要でした。日本円で4万円前後とお手頃価格のため、どう考えても普及しない訳がありません。
■中国の電動自動車 ELECTRIC BICYCLE
もちろん電動自転車ですからバッテリーが搭載されていて、最初の頃は鉛電池、2018年にEBの重量を55㎏以下にするという規格が設けられ、軽いリチウムイオン電池が採用されることが多くなりました。リチウムイオン電池はコンパクトなのでEBのデザインに自由度をもたらし、おしゃれなモデルがたくさん登場。
さらに、マンションの駐輪場はもちろん街中に充電スタンドができ、充電済みバッテリーと使用済みバッテリーを交換できるスタンド、充電を代行して宅配する会社も出現。レンタル店では外国人でも気軽に借りることができるようになりました。
ただ、困ったことに2023年中国国内の発火事故は約2万1千件(中国・国家消防救援局の統計)と非常に多く、社会問題になっています。
正規品のバッテリーと充電器を正しく使用すれば問題ないのですが、安価で質が劣る非正規品を使ったり、過放電で劣化したバッテリーをそのまま使ったりすることで、発火事故が起きることが多いとか。
さらに、充電スタンドだと充電料金が割高ということで自宅に持ち込んで発火し、マンション火災にまでつながるケースもあります。
そんな問題を解決すべく、バッテリーの充放電の監視、車両の稼働状態と走行ルートの監視、バッテリーと車両のトラブルを通知するバッテリー交換プラットフォームが登場。
しかも、この運営会社ではバッテリーをレンタルすることが前提のため、ユーザーがリスクのあるバッテリーを手にしなくて済みます。安全性に配慮したバッテリー交換スタンドも設けられ、ここでもバッテリーの状態を監視し火災を防いでいます。
新しいモノがあっという間に普及する中国、数年後にはバッテリーの発火事故が激減していたらいいですよね。
蓄電池メーカーの古河電池としては安心・安全なバッテリーが普及することを何よりも望んでいます。
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古河電池株式会社 産業機器営業統括部 リチウム営業部