古河電池株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:小野眞一)は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、以下NEDO)が実施する「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)の助成事業において、当社従来品に比べ、優れた精度を持つ高精度残量計、及びドローンの飛行距離に直結する高出力・高容量を兼ね備えた、より高いエネルギー密度の電池を開発しました。
DRESS プロジェクトとは
小口輸送の増加や積載率の低下などエネルギー使用の効率化が求められる物流分野や、効果的かつ効率的な点検を通じた長寿命化による資源のリデュースが喫緊の課題となるインフラ点検分野において、無人航空機やロボットの活用による省エネルギー化の実現が期待されています。
本件は、物流、インフラ点検、災害対応等の分野で活用できる無人航空機およびロボットの開発を促進するとともに、社会実装するためのシステム構築及び飛行試験等を実施するNEDOのプロジェクトです。
当社の開発テーマ
開発テーマは「高効率エネルギーマネジメントのための高精度残量計及び高エネルギー密度電池の開発」です。当社がこれまで培ってきたリチウムイオン二次電池の知識と技術を生かし、ドローンの高効率なエネルギーマネジメントに必要となる電池の高精度残量計の開発とドローンの飛行距離に直結する高出力・高容量な電池パックの開発を行うことで、NEDO が実施する DRESS プロジェクトに貢献します。
※本テーマは3つの目標が設定されており、マクセル株式会社から2つの目標を引き継いで古河電池株式会社が開発しています。
開発製品の概要
<技術的なポイント>
ドローン用として必須である出力特性(セル連続放電5C以上)を維持したまま、エネルギー密度を向上させるため、主に充電電圧の高電圧化と内部抵抗低減を図りました。その結果、重さあたりのエネルギー量を20%増加させることに成功しました。
本成果はドローンの飛行時間に直結し、現行品と比較して、飛行時間を20%増加させることに繋がります。
<開発品の仕様>
項目 |
単位 |
現行品 |
開発品 |
セル公称容量 |
Ah |
9.8 |
11.0 |
セル質量 |
g |
172 |
167 |
セルエネルギー密度 |
Wh/kg |
211 |
255 |
セル最大出力密度 |
W/kg |
1250 |
1600 |
項目 |
単位 |
現行品 |
開発品 |
動作電圧範囲 |
V |
36~50.4 |
36~53.4 |
公称電圧 |
V |
44.4 |
46.3 |
公称容量 |
Wh(Ah) |
435(9.8) |
510(11.0) |
連続最大出力 |
W |
1400 |
1700 |
パック重量 |
Kg |
約2.6 |
同等 |
パックエネルギー密度 |
Wh/kg |
167 |
200 |
ドローン実機へ搭載し、飛行試験を実施。開発の成果を確認。
2022年2月、本テーマにて開発されたインテリジェントリチウムイオン電池を、ドローン実機へ搭載し飛行試験を行いました。この飛行試験により、今回開発した電池が、当社の開発目標を達成できている事を確認しました。
今後の展開
ドローンの用途拡大が見込まれる中で、今後は社会実装に向けたドローンの社会順応性が求められると考えられます。当社では、これらの背景を踏まえて、ドローン市場から安全性・信頼性の高い電池が求められると考え、しっかりとした保護機能を有するインテリジェント電池と専用充電器を製品化し、今日まで供給し続けてきました。
今回開発された技術により、安全性・信頼性は兼ね備えながら、従来の電池よりも“ドローンをより遠くまで飛ばす“、”ドローンでより重たいものを運ぶ”といった、ドローンを社会実装するために必要なニーズに応えることが出来ると考えています。本技術を搭載した電池※は、2022年夏頃より順次サンプル提供、2023年度中の製品化を目指し、開発を進めて参ります。(※本製品は開発品のため仕様や外観イメージは変更になる場合があります。)
- 古河電池、バッテリーでドローンの社会実装に貢献 (1,298KB)
古河電池株式会社 リチウム事業統括部 営業部 TEL:045-336-5010