ロボット用電池の開発は茨の道だった…

人手不足を補う、コロナ禍で人と人との接触を避けるといった目的のために、

ロボットやドローンが活躍しはじめています。

古河電池では、昨年2021年にマクセル㈱からロボット、
ドローンに搭載するラミネート形リチウムイオン電池事業を承継し、
機器メーカーとともにさらなる製品開発をおこなっています。
 

■市場に出すまで苦労続きだったラミネート形リチウムイオン電池


ラミネート形リチウムイオン電池の開発に、初期から携わっているのが、当社の渡辺 均です。
マクセルで記録メディアや電池の開発をおこなって、事業承継に伴い古河電池へと移ってきました。
 


かつて、ラミネート形リチウムイオン電池は他社も含め、
液漏れにどう対処するかという課題があり開発に苦戦していました。
 

渡辺らも日々、悪戦苦闘を続け、ようやく製品化にこぎつけたのですが、
既存の市場にはなかなか介入できずにいました。

「これまでの苦労がムダになるかもしれないと諦めかけていた時に、介護現場が人手不足で大変だからと、
2014年、政府が福祉用具・介護ロボット実用化支援事業を始めたのです。
そこで機器メーカーがロボット開発に力を入れ、専用の電池がほしいと。
ベッドの乗り降りを補助する移乗サポートロボットがその一例です。
ところが、補助金制度が終わったら注文が減ってしまいました。
そんなときに、ラミネート形電池を空飛ぶロボット、つまりドローンに
搭載したいという話をもらい、改良してドローン用電池を誕生させました」。

 

しかし、そもそもロボット用・ドローン用電池は、
車載用のバッテリーよりもはるかに小ロットで、
なかなか利益を生みにくいという問題がありました。
ロボットもドローンもメーカーや用途によって電池への要求がさまざまで、
個々にカスタマイズした製品開発は困難でした。
最初は機器メーカーと共同開発したものの、そこから量産化できるよう規格を統一して
小ロットでの受注を可能にしました。

「電池の規格はこれ」と決めてしまえば、
電池に合わせてロボットやドローンを開発すればよくなったため、参入ハードルも下がりました。
さらに、古河電池では、用途や適用機器に応じた技術サポートをおこなう体制も整えました。
 

■ロボットも電池も、使う人のことを第一に考えたものを

古河電池のラミネート形リチウムイオン電池は、介護ロボット、配膳ロボット、運搬ロボット、
掃除ロボット、除菌剤噴霧ロボットなどに搭載されています。
介護ロボットに関しては、機器メーカーと一緒になって何度も検証を繰り返しながら開発しました。
渡辺はロボット開発の知識を身に付け、エンドユーザーの気持ちまで考えながら向き合ったと言います。

「足腰が弱くなった高齢者はベッドから車椅子に乗り移るだけでも大変。
介護士さんが抱えて移してあげないといけません。
毎日やっていると、介護士さんは腰を痛めてしまう。
重労働だからと離職する人も出る。そこで移乗サポートロボットが活躍するというわけです。
しかし、大前提として、人がロボットに身体を委ねるということは、安心安全でなければならない。
そばに介護士さんがいたとしても、電池が切れて止まってしまったら不安でしょう?
そんなことを考えて、充電切れになる手前で警告ランプが灯るようにしたんです」。


まさか電池にそういった思いやりのこころが隠れているとは思いも寄りませんよね。
確かに、ロボットは人ではないけれど、ロボットを使うのも操作するのも人です。
品質や性能、業務の効率化、コストを追求する以前に人思いでなければいけません。
渡辺曰く「未来は、人のことを真剣に考えたロボットや電池が人と共存する」と。
もう何年かしたら、私たちの見える景色が大きく変わっていることと思われます。
 


次回へ続きます!


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リチウム事業統括部 営業部

渡辺 均
古河電池株式会社
研究開発本部 新事業推進部 新事業開発グループ長 兼 LBシステム開発部