「このクルマ、馬力あるんだよ」「あいつ、切羽詰まると馬力が出る」といった
会話で、ふと馬力ってなんだろうと思ったことはありませんか?
クルマや人間の話なのに、なぜ馬の力なのかと。
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そこで、今回は馬力のことを深掘りしてみました。
時は、18世紀。産業革命の頃の英国。
ジェームズ・ワットが蒸気機関を完成させたときに、
蒸気機関の働きに対して、馬を引き合いに出したのがはじまりです。
平均的な荷役馬が1秒間仕事をしたときの仕事率を1馬力と呼ぶようになったのです。
しかし、現代に生きる私たちにとっては馬が身近ではありません。
一体どのくらいのパワーがあるのでしょうか?
具体的には、1秒間に約75kgの重さのものを垂直方向に1m動かすときの力が1馬力になります。
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馬力の単位はHPまたはPS。
HPは英語のhorse powerの頭文字。馬力発祥の国、英国にちなんで英馬力と呼びます。
ヤード・ポンド法で計算しています。
一方、PSはドイツ語のpferde stärkeに由来。
ドイツ語なら独馬力でも良さそうですが、
フランス発祥のメートル法で計算していることから、仏馬力と言います。
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そして、HPの場合、1馬力=745.7ワット、PSだと735.5ワットに換算できます。
ワットはご存知、電力の単位で、700ワットの電子レンジを
1秒間稼働させると、だいたい1馬力のパワーになります。
もちろん、電力を示すワットは、ジェームズ・ワットの名前からきています。
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ちなみに電気系の単位は、人名に由来する名称がたくさんあります。
アンペア(電流)はアンドレ=マリ・アンペール、
ボルト(電圧)はアレッサンドロ・ボルタ、
オーム(電気抵抗)はゲオルク・オーム、
ヘルツ(周波数)はハインリッヒ・ヘルツ。
歴史に名を残すほどの発明をし、
それが世界中で使われ続けているって、すごいですよね。
さぁ、2021年度は毎日のように馬力を出して、
世間をあっと言わせる発明でもしましょうか!