防弾チョッキにヘルメット!?「はやぶさ」を危機から救ったのは何?

皆さん、最近ワクワクしていますか? 毎日を楽しんでいますか?
コロナ禍の新年は、いつものように前向きになれないという人も多いと思います。

けれども、上手くいかない状況が続いても、明けない夜はありません。
いくら失敗したって、顔を上げて、前を向いていればきっといいことが訪れます。

 

たとえば、昨年12月に飛び込んできた「はやぶさ2」のニュース。
小惑星リュウグウのサンプルを格納したカプセルが
オーストラリアの砂漠に投下され、探査を完了したと報じられましたよね。

あの瞬間、「はやぶさ2」搭載の宇宙用リチウムイオン電池を
開発した古河電池では、社内がパッと明るい雰囲気になりました。

ところが、ここまで来るのは簡単ではありませんでした。

2003年に打ち上げられた初代「はやぶさ」では、
世界初の宇宙用リチウムイオン電池を当社で開発して搭載したのですが、
飛行中に交信が途絶え、その際に、リチウムイオン電池の一部が
過放電を起こしたことが交信復活後に判明。
電池が使えないと、採取したサンプルを入れるカプセルのフタが閉められないという危機。

残された正常な7セルを充電すれば、フタを閉めるのに必要な28Vの
電圧が確保できますが、爆発リスクが高まります。

そこで、宇宙と同じ環境に設定した装置を使い、
防弾チョッキにフルフェイスのヘルメットという重装備で万が一に備えながら、
宇宙から遠く離れた福島・いわきで試験。
3ヵ月ジワジワと充電すれば大丈夫という確信を得て、ようやくリモートで充電。
ところが、無事にフタが閉まったかどうかは、カプセルが地球に戻って
こなければわかりません。どれだけ心配して、帰還を待ったことでしょう。

あのときは全社員、寿命が縮まる想いをしました。
 

そんな経緯があって、「はやぶさ2」では技術改良にさらに力を注ぎ、
高気密性、振動衝撃性、長寿命性に重点を置いたリチウムイオン電池を開発。

しかし、またもや目の前に壁が立ちはだかりました。
当時のリチウムイオン電池のエネルギー密度では、
打ち上げ時に必要とされた容量を満たさなかったのです。

解決には頭を悩まされましたが、最終的に、
打ち上げ時限定で
125%充電するという異例の措置を取りました。

 

実際、古河電池のリチウムイオン電池が使用されたのは、

打ち上げ時の他、
地球の引力を利用して推進力を得るためのスイングバイ、
機体の姿勢制御のために行うセーフホールドのタイミング、
そして、小惑星リュウグウのサンプル採取のタッチダウン時。


 

一旦、大役を終えた「はやぶさ2」とリチウムイオン電池は、
すぐに、新たな小惑星探査の旅に出発しましたのはご存知の通りです。

挑戦に次ぐ挑戦。その姿勢が、勇気づけられますよね。


 

代表取締役社長の小野 眞一は、

「宇宙用リチウムイオン電池の開発はロマン。
予算を掛けてでもやりたい事業だ。古河電池が宇宙への飛行に貢献することで、
子どもたちの科学的な視野が広がるようになったらいい。
そして、夢を持ち、どんな困難を乗り越えてでもその夢を
実現したいと願うような頼もしい大人に育ってくれたら嬉しい」と語ります。

2021年、私たち大人が次代を担う子どもや若い世代に、
ビジネスを通じて力を与えられる存在になれるよう、粘り強く、
諦めずにがんばる年にしたいものです。